「治る」の意味は2つある

患者さんと改善を一緒に目指していくうえで、お互いが考える「目的」をすり合わせないといけません。

何か治したくて整体院に来ているのだから、目的は「治す事じゃないの？」と思われるかもしれませんが、実は患者と施術者にはその意味に大きな違いがあるのです。

「治る」には、2つ意味があります。

元の状態に戻る「治る」と

気にならなくなる「治る」です。

急性の怪我や病気の場合「治る」の意味は、元の状態に戻ることを指します。

傷口がふさがって怪我が「治る」

咳や熱の症状がおさまって風邪が「治る」

これは、皆さんがご存じの「治る」です。

何かの原因で怪我や病気をしたので、逆に原因を特定し対処することで元の状態に戻すことができます。

その原因を見つけるための検査ですし、原因にからんだ診断名は非常に大切になります。

ところが、慢性ではそうはいきません。

急性のような「原因」と呼べるものが無いからです。

原因の代わりになるのが、ハッキリとしない「心理社会的要因」などです。

慢性症状の場合「治る」の意味は、気にならなくなることを指します。

少し説明が難しいので例を出しましょう。

例えば、失恋したとします。

失恋による「何かしらの症状」があったとして。

その問題の解決の仕方は「元の状態に戻ること」ですか？

突発的な喧嘩などが「原因」であれば話は別ですが、色々な「要因」で別れたのであれば、戻ったからと言って症状の解決にはならなでしょう。

それと同じです。

「治る」と言う事は、必ずしも元の状態に戻るだけではありません。

新しい相手を見つけて気にならなくなる。

それが慢性で言う「治る」なのです。

新しい相手は、慢性で言えば「生活習慣に目を向ける」になります。

症状のことばかり気にしていては、ずっと忘れることができずに、症状は酷くなる一方です。

また、そのことでずっと悩んでいては、時間が解決することもありません。

例が下手ですが、なんとなく伝わりましたか？