温める時と冷やす時

誰でも簡単にできる、かつ高い効果が見込める治療法は『温める』と『冷やす』です。

うまく使い分けることで改善が見込めますが、逆に温める時に冷やしたり、冷やす時に温めたりしてしまうと、かえって痛みが強くなってしまうので注意が必要です。

意外と間違えやすい二択なのできちんと覚えていきましょう。

《基本情報》

身体を温めたり冷やしたりして、炎症や緊張を緩和し、症状の軽減をはかる技術を罨法（あんぽう）と言います。

罨法には2種類あり、患部を温める温罨法（おんあんぽう）と、患部を冷やす冷罨法（れいあんぽう）に分けられます。

温罨法・・・風呂やホットパックで温める事。

冷罨法・・・冷湿布やアイスパックで冷やす事。

基本的には、血行不良は『温める』腫れや炎症は『冷やす』が正解になります。

《温める時》

怪我も運動も何もしていないのに生じる痛みのほとんどは『筋・筋膜性疼痛』です。

筋・筋膜性疼痛は、慢性疼痛（長引く痛み）の９割くらいを占めていて、血行不良が元となりますので基本的には温めます。

「お風呂に入ったら楽になる」という痛みは、温めてください。

特に高齢者の方の膝や腰の痛みは、運動不足や筋力不足から生じています。

安静にしたり、湿布で冷やしたりすると逆効果なのでやめましょう。

《冷やす時》

捻挫や打撲などの怪我、運動後2～3日の筋肉痛のほとんどは『炎症による痛み』です。

炎症は他の部位より熱かったり腫れていたりしていて、基本的には冷やします。

ギックリ腰くらいの炎症でも安静にしていれば数日で引きますし、何より痛み止め（ロキソニンとかボルタレン）がよく効きます。

アイスパックなど強烈に冷やす場合、時間は20分以内にして20分放置を繰り返します。血管が細くなりすぎると良くないからです。

何かの病気からくる炎症の場合は、心配せずとも「いつもと明らかに違う痛み」を感じるので患者さんにもすぐわかります。そんな時は病院へ。

《判断が難しい時》

頭が痛い時や、五十肩などで痛い時は、判断がケースバイケースになります。

その他にも、ギックリ腰や寝違えてから１週間たっても痛む時とか、手を伸ばして筋を傷めた時などです。

片頭痛は温めて血行が良くなると痛みが増しますが、緊張性頭痛は冷やして血行不良になると痛みが増します。

五十肩は動かした方が良いですが、炎症が生じた場合は安静にします。

慢性が急性に変わることはよくありますが、その判断を的確にすることは、経験があっても難しいのです。

経験上、温める時が９割、冷やす時が１割ですので、私はお風呂で様子見をお勧めします。

とりあえず怖がらずにどちらかを試してみてください。

気持ちが良い方が正解です。