何と向き合うべきか？

色々な症状の患者さんがいらっしゃいますが、どんな症状であれ一番辛いのは「考え過ぎてしまう事」ではないでしょうか。

この精神状態はいつまで続くのだろうか？

今後の人生ずっと不安は消えないのではないか？

周りから「考え過ぎ」と言われても、延々とこの思考は消える事はありません。

今の状況では、納得できる答えは見つからないからです。

登山をする前に大きな山を目の前にして「山頂はさぞかし気持ちがいいだろうな」なんて思える人は経験者だけです。

始めて登山をする人は「大変だろうな」「きついだろうな」としか思えません。

慢性症状も同じです。

頂き（改善）の見えない山を前にして、「いつまで登ればいいんだろう」と、考えない人は居ないでしょう。

でも、そうやって先の事を考えてしまうと、動けなくなってしまいます。

将来を軽く考えてはいけませんが、何事も適度が大切です。

真面目な人ほど、将来を考え過ぎて症状と向き合い過ぎます。

「どう考えるのが正解なんだろう？」とか考えてしまうでしょうが、あえて言うなら「先の事は何も考えていない（今の事に集中している）」が正解じゃないでしょうか。

納得できる答えは無いのですから、いくら向き合っても疲れるだけだと早めに切り上げる事です。

それでも考えてしまう時は、向き合う方向を変えましょう。

経験上、今に集中できると心は落ち着きます。

変人と思われるかもしれませんが、米粒の数を数えて心が落ち着いた経験が私には在ります。

食事中に考えてしまうなら、手に持っているお茶碗の絵柄をマジマジと見ても良いでしょう。

とにかく、今目の前にあるものに向き合うことです。

過去と向き合えば落ち込む。

未来と向き合えば不安になる。

今と向き合えば心は落ち着く。

と老子は言います。

過去や未来に生きているわけではありませんので、今をしっかり生きてくださいね。