痛みがでたら最初に『急性・慢性』を整理しましょう
～急性疼痛～

筋肉の痛みでも、関節の痛みでも、頭痛でも腹痛でも、何でも良いです。

その痛みは、急性なのか？慢性なのか？

その違いで治療方針は大きく変わってきます。

急性と慢性の違いは、単に「痛みが治るまでの期間」だけではありません。

発症した要因も異なりますし、当然有効な治療も異なってきます。

そこを間違えると、治療がなかなか進みません（場合によっては悪化もあります）ので、しっかりと覚えておいてください。

急性疼痛

事故や怪我、細菌やウィルスによる病気など、原因がハッキリしている痛みは「急性疼痛」になることが多いです。

痛みの原因にある「侵害受容器の興奮」とは、簡単にいえば筋肉や内臓などの細胞・組織が、怪我や病気によって損傷しまうことで、痛みを感じるようになった。ということです。

なので、損傷してしまった細胞・組織が元の状態にまで修復すると、痛みも消えます。

修復までのおおよその目安は、症状によりますが約３カ月以上かかることは、急性の場合ほとんどありません。

骨折をイメージすると分かりやすいですが、いつまでも折れたままなんてありえませんよね？

折れた直後は、交感神経の働きによって過度に緊張してしまい、汗はダラダラ、心臓バクバク、痛みでリラックスなんてできません。

精神状態もそれに付随して不安な状態になります。

これが、随伴症状という痛みの「オマケ」です。

急性の場合、その痛みを引き起こす直接の要因は「炎症」がほとんどです。

炎症による痛みは、激しく痛んだり、時に動けなかったりしますが、痛みの割にそれほど長引きません。

激痛のギックリ腰でさえ、炎症のピークは３日ほどで、１週間もすればほぼ消失します。

ただし、炎症の「ぶり返し」には注意が必要です。

炎症が長引けば、それだけ行動が制限される期間が増えますので、睡眠障害や抑うつ状態を招いてしまうこともあります。（例：50肩など）

治療としては、原因がハッキリとしている急性症状のほとんどは、手術や投薬が非常に有効です。

特にロキソニンやボルタレンなどのNSEIDｓ（非ステロイド性抗炎症薬）は、炎症による急性疼痛には著効です。

ただ、エヌセイズは炎症以外には効果がさほどなく、逆に副作用で胃を荒らし、別の症状の原因になることもあります。

頭痛や生理痛などで漫然と痛み止めを飲み続けている方は、十分に注意しましょう。

急性症状は、症状によっては安静にすることで数日～数週間で軽減・改善することもありますが、場合によっては緊急を要します（癌性痛や出血性の痛み）ので、普段と違う痛みに関しては病院での検査が必須です。

急性痛まとめ

・ 痛みの原因　→　ハッキリとしている（概ね細胞・組織の損傷）

・ 痛みの期間　→　損傷した細胞・組織の、通常の修復期間を超えない

・ 痛みの種類　→　ほとんどが炎症によるもの

・ 診断の目的　→　原因となる損傷部位の発見

・ 治療の目的　→　損傷した細胞・組織の修復の促進

・ 治療の方法　→　ＲＩＣＥ処置（安静・冷却・圧迫・挙上）・手術・投薬

（痛み止め含む）など