治ったと受け入れる事は、症状を受け入れる事よりも時に困難だ。

『自分の体の何かが違う』

患者さんは、色々なことを考えて精神科や心療内科を受診される事でしょう。

「あなたは鬱病です」

こんなストレートに本人が診断される事はまずないでしょうが、もし、そう言われたら、あなたならどう思いますか？

そんな筈はないと落ち込みますか？

自分がおかしくなったわけじゃないと安心しますか？

その症状を受け入れますか？それとも否定しますか？

私の場合は『あぁ、やっぱり』でした。

落ち込みも安心もしませんでしたが、妙な喪失感があったのを覚えています。

それでも、意外と素直に受け入れる事はできました。

もちろん同じ様に感じる方ばかりではありません。

患者さんの中には『絶対に自分がなるわけがない』『精神疾患なんて心が弱い人がなるものだ』と、頑なに否定される方もいらっしゃいます。

鬱などの症状を受け入れる事は、場合によっては自分のアイデンティティを否定する様なものです。

信じ貫いてきた言動や、正しいと思っていた価値観が、自分を苦しめていたわけですから、簡単に「はい。そうですか」とはいきません。

『自分が信じられなくなる』

患者さんが高確率でおっしゃるキーワードです。

そして、その状態は症状が寛解してきても続くことがあります。

元気な時が99日、不調な時が1日でも、自分の体が信じられず『また、発症したら・・・』という不安や恐怖がよぎります。

普通の健康体の人だって、ずっと絶好調ばかりではありません。

そんな事は頭では理解していても、たった１つの不安や恐怖が、99の幸せや余裕を壊すことがあります。

99を見て『治った』と受け入れるのか

1を見て『まだ治っていない』と否定するのか

答えはわかっていても、身体が受け入れきれないのは非常に辛いです。

経験しないとわかりっこないのですが、周りの人の『もう治った？』という質問が私は嫌いです。

自分から話す分には覚悟もあり構いませんが、未経験で状態を知らない人が「自分が納得したいが為」に事の始終を聞いてくるのは、気分が悪いです。

心配してくれているんでしょうが、1を思い出させる質問はセカンドレイプと変わりません。

人によっては症状を受け入れる事は困難です。

そして治ったと受け入れる事は、受け入れる事よりも時に困難です。

ジャニーズ見てそう思う今日この頃でした。