ストレスを抱えると何故痛みを感じるのか？　①感作

テストや会議の前になると緊張してお腹が痛くなったり、頭が痛くなったりするのはよく知られています。

人によっては移動や出勤、食事や会話、場合によっては朝起きると痛むなんてケースもあるでしょう。

この様に、私たちは怪我や病気をしていないにも関わらずストレスを感じるだけで、痛みを感じることがあります。

その理由を今回は説明しましょう。

押さえるべきポイントは大きく2つあり、感作（かんさ）と可塑性（かそせい）です。

感作

通常、私たちの神経は刺激情報に対しては、同等の反応をするようにできています。

攻撃力10のパンチをされると、ダメージを10受ける。みたいな反応です。

しかし、脳がストレスを受け過敏になると、この反応にも変化が起きます。

同じ攻撃力10のパンチでも、ダメージが20になったり、100になったりするのです。

これは、入ってきた刺激に対して神経が亢進（行き過ぎた）した反応を示しているからなのですが、この様な状態を「神経（中枢性・末梢性）感作」や「疼痛感作」と言います。

「刺激に敏感になっている状態」と思うと分かりやすいでしょう。

そして、感作は「閾値（いきち）」にも影響してきます。

閾値と言うのは「これ以上なら反応する。これ以下なら反応しない」といった一種のボーダーラインで、攻撃力に対する防御力の様なものです。

閾値が10ある人は10以下の攻撃に対してダメージを受けません。

しかし、感作状態になると閾値が下がって10以下の攻撃でもダメージを受けてしまう（反応してしまう）状態になるのです。

感作では、通常では痛くないはずの軽い刺激が疼痛として認識されるだけでなく、とても痛く感じたり、痛みが広がって感じたりするので非常に厄介です。

例えるなら、お化け屋敷！

普通の道路を10分歩くのは何てことないですが、お化け屋敷だと怖いですよね？

これが「感作」の状態。

普通なら気にならない様な物音も、お化け屋敷だと怖くないですか？

これが「閾値が下がった」状態。

ストレスによって脳がお化け屋敷に入ってしまうと、この様に感じ方が敏感になってしまう。と覚えておいてください。

そして、それは痛みだけではなく、不安や緊張でも同じです。

電車でパニックを経験すると電車が怖く感じる。

事故を起こすと全然スピードが出せなくなる。

などは閾値の低下によるものです。

感作と閾値が低下した状態は、不安や緊張は痛み反応を起こしますのでよく注意しましょう。

長くなったので可塑性についてはまた次回。