自然の均衡は絶妙

ヤンバルクイナという鳥をご存じでしょうか？

ヤンバルクイナは、世界中で沖縄県北部の山原（やんばる）地域だけに生息しているクイナという鳥の一種で、鳥なのに飛べません。

もともと沖縄では、捕食される心配がなかったヤンバルクイナは、進化の過程で飛行能力が衰退していったと言われています。

話は変わりますが、沖縄にはハブが居ます。

猛毒を持つハブは、沖縄の人々にとって非常に危険で、その駆除は江戸時代から推奨されていたほどで、1910年にハブ駆除の白羽の矢が立ったのが、マングースでした。

マングースはヘビを食べることが知られていたので、沖縄島でも同様にハブを食べてくれるんじゃないか？と期待されてインドから輸入したわけです。

ところが・・・

マングースが好んで食べたのは、天敵のハブではなく、より簡単に仕留められるヤンバルクイナだったというわけです。

もちろん、マングースだけがヤンバルクイナを捕食したわけではありません。

人が買っていたネコ、ゴミを漁りに増えたカラスなども、思わぬハンターとなっていたでしょう。

奄美大島でもマングースは放たれていて、アマミノクロウサギという希少種を捕食していたらしいです。

そんなマングースは現在では駆除の対象になっているんだとか。

皮肉で何とも可哀そうな話です。

良かれと思ってやった政策だったのに、思わぬところで自然の均衡が崩れ、元の状態に戻すのに、本来は要らなかった苦労をしているわけです。

これは、何も自然界だけの話ではないと私は思います。

人の体は、様々な種類の細菌や細胞で溢れています。

それらは、必ずしも互いに連携しあって働いているわけではなく、非常に絶妙なバランスで健康という均衡を保っています。

人類はそうやって健康が保てるように進化してきたのです。

自分の健康が損なわれた時、何か不自然な形で治そうとするのは、私はどうかと思います。

何が言いたいわけではありませんが、人体にとって何がマングースになるかわかりません。

自然がもたらす均衡は、人知が簡単には及ばないことを忘れないようにしないといけませんね。